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オスカー・ニーマイヤー

国際平和賞を受賞した異色の建築家

オスカー・ニーマイヤー程長い人生を建築に捧げた人はいないでしょう。
95歳にしてブラジルのオスカー・ニーマイヤー美術館を手掛け、建築家は生涯現役であることを世に知らしめた人でもあります。
2012年の12月に亡くなりましたが、105歳という長寿で1世紀に渡って世界の建築の変化を見続け、牽引してきたのです。

ニーマイヤーはブラジルのリオデジャネイロに生まれましたが、ドイツ系ともネイティブアメリカンや黒人の血が混ざっているとも言われています。
国立芸術大学建築学部を卒業し、1943年にはリオの旧教育保健省、1953年にはアメリカはニューヨークの国連本部を設計しました。
その業績が認められ1956年には新首都ブラジリアの建設に携わり主要施設の設計を行いましたが、やや左の思想がゆえに戦争や政治的騒動に巻き込まれます。

1965年に拠点をパリに移し活動を続けますが、ほとんど亡命に近い形での移住でした。
その後民政復帰によりブラジルに帰国し、リオを拠点として設計活動を続けます。
1945年から1990年までは共産党に入党していたことからレーニン国際平和賞が贈られているという、異色の建築家でもあります。

自由な曲線

多くの建築家がそうであるように、ニーマイヤーも自然の曲線を建築に取りいれる事に熱心でした。
自然と共存するには、自然のフォルムをまねる必要があり、それこそが人間が作り出す最も美しく自然に近い産物と言えるでしょう。
2015年に東京都現代美術館で、オスカー・ニーマイヤー展が開催されたため、写真でその作品を目にした方も少なくないでしょう。

美しい曲線が彼の代名詞でもあり、彼に影響を受けて自然の曲線を再現することが建築家の目標の一つになっています。
建築物の曲線は人の心を動かす力があり、その空間を特別なものにする効果があるのです。
代表的な作品はブラジリア大聖堂で、天に向かって伸び、外側に婉曲する数本の梁は荘厳な雰囲気を醸し出しています。

ブラジリア大聖堂は両手を組んで祈りを捧げる姿をイメージして造られましたが、ブラジル人の間では空飛ぶ円盤と呼ばれています。
塔の上に浮かぶ様に見える十字架がUFOの様に見えるのです。
女性のスカートの様にも見えるこの建物は、ブラジリアのシンボル的な建造物の一つであることは間違いありません。

世界遺産登録

ブラジリアは、ルシオ・コスタが設計した計画都市で、主要建築物の多くをニーマイヤーが担当しました。
そのブラジリアは1987年に世界遺産に登録され、歴史と伝統の街は今も世界中の人々を魅了し、観光客が絶えません。
主要構造物は、大統領官邸や国会議事堂、連邦最高裁判所などで、いずれも曲線が特徴的な建築物です。

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