不動産の価値評価のプロフェッショナル
不動産の経済的な価値をはかり具体的な金額として鑑定評価を行うのがメイン業務の国家資格です。
不動産鑑定は定期業務として、国などからの公的依頼に基づき実施する地価公示や路線価の算定業務が挙げられます。
路線価は相続税の、固定資産評価は市町村民税の算定の基礎となる価額であるため、客観的で公平・適切な評価が求められます。
また、国や地方公共団体関連業務では、公共用地取得・売却など、国会で森友学園をめぐる土地取引が問題視されたように、国民・住民の権利に関するものであることからも適切な評価が期待されます。
身近にある不動産鑑定士の活躍シーン
所有する土地などを売る際に、鑑定を受けて適正な価額を把握していれば安心して業者との取引に望めます。
ビルやマンション等の不動産の賃貸借に当たり、テナント料(家賃)や土地賃貸料、契約更改料その他の手数料を客観的に鑑定評価してもらえます。
また、金融機関から事業運転資金を借りる際、担保として所有不動産を差し出すケースは多いですが、鑑定評価してもらっていれば借入可能額の目安となります。
さらに、相続財産に不動産が含まれる場合、客観的かつ適正な鑑定評価を受けていれば、トラブルなく公平に遺産を分割することが出来ます。
評価以外にも拡大する活躍のフィールド
この資格試験は難関の試験であり、有資格者はハイレベルな知識や的確な判断力をあわせもち、不動産のプロフェッショナルとして各方面から信頼を受けています。
個人や会社を問わず、不動産の有効利用や再開発プランに関連する相談に応じることを始め、トータルな助言に至るまで広い守備範囲を持ちます。
コンサルティングの例として挙げると、当該物件周辺地域の不動産の取引実例価額や家賃レベルの把握を始め、物件売買や担保価値算定に資する調査や分析結果を判断資料として提出します。
グローバルにも活躍する不動産鑑定士
近年のグローバル化の進展により、海外物件の評価案件など国際化が顕著な傾向にあります。
単に国外の投資家が行う国内不動産への投資案件だけでなく、国内の投資家や企業が国外の不動産に投資したりする際に評価が必要です。
さらに、M&Aを行ったりする際にも被合併企業が所有する不動産の評価が不可欠となり、海外不動産の調査・評価業務の需要が増えているのです。
難関の資格試験は2段階
この試験の方式は例年5月に実施される短答式とその合格者が受ける7~8月実施の論文式の2段階で判定されます。
短答式に合格すれば仮に当年の論文式に落ちても翌年・翌々年の2回分短答式の免除を受けることが出来ます。
短答式の科目は行政法規と鑑定理論の2科目で、合格基準はおおむね70パーセントとされます。
論文式の科目は、民法と会計学、経済学、鑑定理論の4科目で、3日間にまたがり実施され、合格基準はおおむね60パーセントとされます。