人それぞれにあったコンセプトを
建築設計をするときには、一面的な提案方法ではなくその建物の目的や使用する人のことを考え、最も適切と思えるものを提案していかなくてはいけません。
例えばこれからカフェを開きたいという人からの依頼に対して、耐震性や機能面ばかりを重視した建築物を提案しては、肝心のお店の雰囲気を左右する空間的な居心地の良さを維持できないということもあります。
反対に、高層ビルや巨大な建築物を作るときには、デザイン面ばかりでなくいざというときのための耐震性や防火性をきちんと維持できる構造にしていかなくてはいけません。
建築設計の仕事の難しさでもあり醍醐味であるのがこの部分であり、いかに機能面や安全面で優れた構造をしつつ、建物のコンセプトにあったデザインにしていくかということが設計士には求められます。
3種類に分けられる
このように建築物のバランスを考えた建築設計の方法は、大きく三種類に分かれます。
三種類とは「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つで、それぞれデザイン性や安全面を考慮した構造、さらに室内での活動に支障のない光熱や通信の環境を考慮していきます。
この三種類はどれが一番大切ということはなく、その全てにおいて最もよいものというバランスをとりながら設計が行われていきます。
ある建築物を作ることが決まったときには、まずは最初に建築主の要望と敷地条件にもとづき、最初の企画と基本設計を作成します。
基本設計が確定したのちに行われるのが実施設計という実際の建物を作るために必要な数値や設備内容、そのための工事内容や材料などを算出していきます。
実施設計ではかなり詳細な構造や設備の図面が作成されますが、この設計書に工事のための概算見積もりつけたものを「設計図書」といいます。
設計図書がきちんとまとまったのちに、ようやく施工業者による実際の工事が始まるというわけです。
建築設計においては、この最初の基本計画に基づく実施設計書類の作成はかなり重要です。
実際に建築に入ってからはあれこれと変更は加えることは難しくなりますから、基本部分については変更がないようにしっかりと内容を定めて建築主の了解をとっておく必要があります。