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ドミニク・ペロー

パリを変えるフランスの中堅建築家

世界に名をはせる有名建築家の中でもフランスの中堅建築家であるドミニク・ペローは、都市計画を専門とする建築家です。
ドミニク・ペローが手掛けるビルは一見無機的に見えるものの、良く見ると傾いていたり歪んでいたり、自然のフォルムを思わせる建築が特徴的です。
ペローと言うと1995年に完成したフランス国立図書館が有名ですが、正に開いた本をそのままビルにした様な建物がエリアの四隅に建っています。

歴史的建造物が多いパリにあって、都会的すぎる図書館は意外性がありますが、この地区は嘗ては倉庫街でした。
国会図書館が建設された事で、それがランドマークとなり、周辺地区の開発が進んだのです。
パリの新たな人気スポットとして発展するきっかけとなり、パリが抱える経済的な飽和状態を打開する鍵となるのです。

ペローには、パリを近代都市へと変えたいという野望があります。
都市計画を生業とするペローですが、現在のパリの人口など経済的な限界を指摘しており、それを打開するためには近代的で機能的な都市づくりが必要だと考えています。
まさに東京の様な都市を目指していると言います。

勿論、パリは街そのものが世界遺産と言っても過言ではない歴史ある都市ですから、その景観を損なうことは誰も望んではいません。
京都に高層ビルの建築が憚られ、街の景観を壊さない建築デザインが必須である様に、パリにも同様の課題が存在します。
ペローはその町が持つ個性を壊すことなく、自身の個性を盛り込んだ近代的な建造物を作る上げる事で定評がありますが、若い頃には多くの批判もあり、今の地位を築くまでは紆余曲折があったのは言うまでもありません。

バタフライ・パビリオン

ペローの活動は国内にとどまらず、海外でも高く評価されています。
日本でも新潟の十日町に能舞台を建設しましたが、自然の中に溶け込む様な建築物で、角度によっては水上に浮いている様に見える東屋型イベントスペースです。
自然の山や森に溶け込む様な不思議な形状で、十日町の文化活動に活気を与えています。

2010年に完成した大阪の富国生命ビルは、大阪人でなくとも一度は写真などで目にしたことがあるでしょう。
一見普通のビルディングに見えますが、中層階から下は不思議な形状をしています。
まるで形状の異なるブロックを組み合わせた様なデザインで、ビルに移りこんだ周辺のビルの影とも相まって、見るものの目を惹き付けます。

生涯現役の建築家

60歳を超える今も精力的に新しい建築物を手掛けているペローですが、ポストモダンから脱却し常に時代をけん引し続けています。
空間をスッキリさせシンプルでありつつも、周辺との調和を心掛けています。
今、時代が求めているものは、まさに一切の飾りを排除したシンプルさなのかもしれません。

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