スイスが生んだ崇高なる建築家
ピーター・ズントーはスイスのバーゼル出身の建築家で、もともとは歴史的建造物の修復をする仕事に就いていました。
収納家具製作をしていたこともあり、技術を活かして建築の道を志すことになます。
ズンドーの建築における主義は、建物の内から外へ向かい、緻密さと芸術性であると明言しています。
デザインするに当たり建物の目的と建築される場所にウエイトを置くことにあるため、華美にならず光と陰を演出する事で知られています。
そまためズンドーの建築に華美なものはなく、いずれもシンプルな中に荘厳さを感じさせる作品ばかりです。
中でも有名なのが温泉施設のテルメ・ヴァルスで、まるでラビリンスの様な独特な構造となっています。
芸術性を重視するため、作品は全て美しいデザインです。
そしてもう一つズンドーが重要視していることが、建築素材です。
素材にこだわり、使用目的に合った建築でありながら、アートとして確立している建築物であるため、作品は高く評価されプリツカー賞を受賞しています。
代表的な建築物
ドイツ、ケルンにある聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館が最新の仕事です。
外壁は石畳から生えてきたかの様に自然で、外も内部も壁の構造が同じです。
古い時代の意向を展示しており、新しい建物から古い時代の建物へと移動する空間が自然で、照明を暗くすることで歴史に敬意を表している様です。
柔らかい光に照らされて闇に浮かぶ展示品は、光と陰の演出が生きています。
美術品を展示する箱でありながら、箱そのものが美術品となっている作品です。
全体を明るい照明でさらけ出してしまっては魅力が半減するため、建物、光、陰、展示物の全てが一つのアートとなっているのです。
ローマ遺跡のためのシェルター
スイスにもローマ時代の遺跡が出土する事がありますが、発掘された遺構は保護シェルターで雨を除け、風通しを良くることで守っています。
そのシェルターをズントーが手掛けるにあたり、構造物の壁は遺跡の壁が合ったであろう位置に建てられ、日中は外から中が見えない為、窓からのぞくことができるようになっています。
また、夜は中にライトをつける事が出来、漏れ出る光と共に中の様子を見る事が出来ます。
聖ベネディクト教会
写真で見る限り一流建築家が手掛けた様には見えない、極めてシンプルな建築物ですが、近ずくにつれ素材がその土地の伝統的な建材で出来ていることが判ります。
教会としての役割を果たすにあたりの取り込み方を工夫し、シンブルな中に荘厳さを感じさせる空間になっています。
中から見ると天井がまるで船底の様に見え、梁が放射状に組まれているのが独特です。
モットーである緻密さと芸術性が再現され、地元の人たちの意見も取りいれて作られた機能的で実用的なアートです。
素材は現地にある物でを利用することで、土地と作品との繋がりができるのです。