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レンゾ・ピアノ

前衛的な建築家

レンゾ・ピアノは1937年にイタリアはジェノヴァの建築家の家庭に生まれました。
イタリアの主要都市の中でも、建築物の美しさが特別目を引くジェノバは、歴史と伝統のある美しい港街です。
しかし、ピアノの作る建築物は、ジェノバの歴史的建造物とは対極にあると言っても過言ではありません。

最も多くの人を驚かせたのが、パリのアルマジロと呼ばれる映画製作会社のオフィスビルです。
バリというのは畜年数の長い建造物が多く、開拓するのが難しいのですが、その狭い街並みの一角にまるでダンゴ虫かアルマジロの様な曲線を描く不思議な建物が出現しました。
ピアノの手によるこの建造物は、外からはアルマジロですが、中は太陽光をふんだんに取りいれ明るく広々とした空間が広がっています。

狭小なエリアに空間を広く感じさせる建物を作ることも、都市に建物を建てる建築家の課題の一つです。
そしてプライバシーを守ることも重要で、中から外は見えても外から中が見えない様になっています。
そのため、外から見る限り内部がどうなっているのか想像することができません。

構造がアートになる建物

ピアノの代表的な建築物と言えば、パリの総合文化施設であるポンピドゥー・センターが有名です。
一見して建築途中の様にも見えるこの建物は、建築物そのものがアートであるという考えに基づいて建てられているのです。
しかし、剥き出しの建材とガラスで作られたこの建物は前衛的すぎて建築当初は批判も多く、今なおその価値については賛否両論と言えます。
共感する人も多く、ジャズ界の巨匠であるチックコリアは、エレクトリックシティのビデオ撮影を行っています。

構造が持つ美しさは、わかる人には理解されても、理解できない人が多いのもまた事実です。
芸術というのは、その時代で前衛と呼ばれるものも、100年、200年後にはスタンダードになるものです。
今は理解されないかもしれないピアノの作品も、後世は高く評価されることになる可能性は充分にあるのです。

関西国際空港

知らない人も多いのですが、日本にもピアノがデザインする建築物はあります。
関西国際空港は昼夜を問わず美しいと評判の空港で、内部はまるで巨大なUFOにいるかの様な錯覚に陥るほど曲線が数多くあしらわれ、窓は広く空間を最大限有効に利用した空港です。
機能的なだけでなく、構造そのものがアートでなければならないというピアノの建築哲学が生かされた建築物の一つであることは間違いありません。

関空は外から見ても印象的な建造物です。
軽さと柔軟さがコンセプトと言われる様に、屋根に使われている建材はステンレスで滑らかで美しい曲線を描き、上から見ると布が一枚被さっている様な独特なフォルムは人々の目を引きます。
阪神淡路大震災でもせん断変形もせず無傷で、耐震性、機能、アートの全ての面で高く評価されている建築物なのです。

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