前川國男の人物像とは
前川國男は日本を代表する建築家であり、日本の現代建築の発展を語る上で欠かせない偉大な建築家の1人です。
1905年新潟生まれの前川國男は、今の東大である東京帝国大学を卒業後に単身渡仏、近代建築の巨匠としてフランスで活躍した建築家、ル・コルビュジエの事務所で2年間経験を積みます。
帰国後は帝国ホテル建設に携わったチェコ出身のアントニン・レーモンド氏が創設した事務所に所属し、1935年に独立、その後50年に及び活動し多くの功績を残しています。
その数なんと200以上とも言われ、戦前から戦後にかけて日本の木造モダニズムを牽引した建築家です。
前川國男の代表作「木村産業研究所」
前川國男の数ある作品の中でも特に有名な作品を紹介しましょう。
まずはル・コルビュジエで勉強した後に帰国して最初に手掛けた「木村産業研究所」です。
現存する最古のモダニズム建築と言われており、こちらは前川國男の作品の中で初めて国の有形重要文化財に指定された建物です。
インパクトのある白亜の外観は、一部改装された箇所がありますが、間取りなどは当初のまま残されています。
1961年に建てられた「国立国会図書館東京本館」も、前川國男作品として知られる建築物です。
コンクリートで仕上げられたバルコニーは、ル・コルビュジエに師事した前川國男のデザインを感じる精錬された雰囲気が漂います。
最上階にあるペントハウスは青色を基調とした美しいタイルが特徴的です。
耐震補強工事が行われましたが、建設当時の雰囲気を次世代に継承する代表作と言えるでしょう。
上野恩賜公園にある「東京文化会館」もまた、1961年に建設された前川國男の代表作です。
開都500年記念事業の一貫として建設された文化施設で、大ホールではオペラやバレエ、オーケストラの公演が開催され賑わっています。
大ホール、小ホール、音楽資料室などその音響効果が音楽家から高く評価を受けており、ホワイエやホール、楽屋などディテールまでこだわった重厚感のある建物です。
東京文化会館の目の前には師匠であるル・コルビュジエが手掛けた「国立西洋美術館」がありますので、師弟双方の建築家の作品が鑑賞できることでも知られています。
「前川國男邸」を見に行こう
1942年、太平洋戦争勃発の翌年に東京都品川区上大崎に建てられた前川國男の自邸「前川國男邸」は現在、東京都小金井市・江戸東京たてもの園に移築され、見学できるようになっています。
20世紀最大の建築家と言われたル・コルビュジエの流れを組む前川國男が暮らした和風の自邸には、前川國男らしいモダニズム建築が散りばめられた造形物です。
物資のない時代にこれだけの作品(自邸)を建てたのかと感銘を受けること間違いなし、ぜひ一度足を運んでみてください。